創設者福原軍造の私学創設の動機は、幼少よりの立志、直接的には、青壮年期における、画一的偏知的注入主義と結果主義的進学準備教育による人間不在の教育への憂慮にあり、教育の価値当体である個性的人格的成長発達に即応する教育にあり、従って、その建学の理想は、幼稚園より大学まで一貫性の教育をめざす総合学園の建設という深遠宏大な志向にある。
その精神は、「人による人にまでの教育」である。
福原軍造の教育体験の上に立つ教育理想は、教師その人であり、曽て、ソクラテスは、「教育は、元来、職業として行わるべきことではない。教師であることを自己の人間的使命であるとする人によってなされるべきである」と述べているように、自己の生涯を教育の道に献げ尽くし、「他の為にのみなし、己の為めに一物も為さず」と碑銘に称えられた師聖ペスタロッチの教育精神こそ、わが私学の教師の精神であってほしいと考えたのである。
福原軍造自身、自らのめざす理想的教師像には程遠いが、その人間的未熟を自覚し、理念は理念、理想は理想、たえず理想を具現する精神に生きるところに人間形成の過程的意義と価値を見出して、不断の精進を生涯的使命としている、そこにこの学園の建学精神は存在するのである。 |
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